俺学

・「日本農業成長八策」

以下は、浅川芳裕氏が提唱している、
日本農業成長八策である。

1、民間版市民農園の整備

2、作物別全国組合の設立

3、科学技術に立脚した農業ビジネス振興

4、輸出の促進

5、検疫体制の強化

6、国際交渉ができる人材育成と採用

7、農家の海外研修制度

8、海外農場の進出支援


1、民間版市民農園の整備

現在、市町村が運営する市民農園は、
何年も順番待ちの状態が続いている。

ならば、
農園を借りたい人をまとめ、
基金を作り、
貸農園の建設をプロの農家に呼びかける。

300万世帯の潜在需要を見込めば、
現在3200ある市民農園をプラス3万件創出できる。

1家族の利用料が月々5000円、
年間6万円としても貸農園代だけで3000億円の新市場ができる。


2、作物別全国組合の設立

日本は、
これまで地域単位の農協が中心だった。

結果、同じ作物を作る他産地の農家と競合し、
産地間競争による値下げ合戦の消耗戦を繰り広げてきた。

一作物メーカーごとに全国の農家が結集、出資し、
専門スタッフを雇い、
研究調査、ブランディングをおこなうことで、
5%の価格向上を実現すれば、
全体で4000億円の農業算出効果がある。


3、科学技術に立脚した農業ビジネス振興

日本は研究者数が他の先進国とくらべ桁違いに多い。

しかし、
日本や世界の農業発展にほとんど生かされていない。

そこで、
開発された品種や栽培技術などを
世界的に品種登録、特許申請し、国内外間わずライセンス契約を結ぶ。

農業のソフト産業化を推進し、
海外展開を積極的に図る。

日本発の農業関連機資材、
知的財産権のビジネスを海外に広げることで、
国内の関連市場規模を20%拡大できれば、
1兆円マーケットが創出できる。


4、輸出の促進

1965年時点では、
欧米先進国の輸出額は日本とほぼ同レベルであった。

それが今日に至っては、
英国が20倍(200億ドル増)、
ドイツが70倍(420億ドル増)に対し、
日本はわずか17億ドル増である。

国内顧客に依存し、
海外顧客開拓を全くしてこなかったためだ。


5、検疫体制の強化

農産物貿易は、
国際検疫戦争の勝敗で決まるといわれるほど、
検疫の重要性は高いが、
日本は検疫に必要な人材数が足りていない。

実際、
中国に日本の高品質な果物やコメを輸出しようとしても
中国当局の難癖に対応しきれず、
2008年に中国で売れた日本米はわずか6トンだった。


6、国際交渉ができる人材育成と採用

誇りを持って日本農業、農産物を
世界にPRできる人材を育成、採用する。

欧米の農業強国に倣い、
成功した農業経営者や海外で実績を持つ実業家を
農業特使に任命する方法もある。


7、農家の海外研修制度

平均68歳の高齢の「疑似農家」100万人弱に毎年、
100万円も所得補償する制度より、
同じ100万円で意欲のある何万人もの若手農家や学生を
世界に派遣したほうが、
どれほど日本の将来にとって有益かわからない。

7、農家の海外研修制度
8、海外農場の進出支援

将来性のない疑似農家に赤字補償している年間1兆円の予算だけで、
海外の肥沃な農地が日本の農地面積の5倍は買える。

日本の優秀な農家が世界進出すれば、
現地の農家の技術水準を引き上げ、
新たな商品開発もできる。

従来の農業の常識では、
農地面積を広く持つ国の方が農業強国をイメージしやすい。

しかし現実は、
付加価値が低く
国際競争の熾烈な基礎食料を大規模に作るしか生き残っていけないのである。

日本の農家がきめ細やかで高品質な農産物を作れることを知っている国は
日本の優秀な農家を求めている。  


本案にかかる税金は
輸出補助金、
海外への農場進出、
若手農家の海外派遣に各1000億円の3000億円のみ。

所得補償1兆円の3分の1以下の予算である。

ポイントは、
税金をできるだけ使わずに、
農業の市場規模を拡大し、
農家の所得を増大させ、
関連雇用を生みだす。

結果的に、
地域、国家の税収を増やすことだ。

長年、
農業界には3兆円規模の税金が投入され、
農家の払う税金は数百億円と著しい不均衡があった。

農業分野を保護するための高関税政策によって、
WTOやFTA貿易自由化交渉を頓挫させ、
製造業の輸出機会を奪ってきた。

日本経済が苦しい今こそ、
農業界は税金の配分を求めるのではなく、
基幹産業として経済成長を牽引する役割を果たすときだ。


「農業者戸別黒字化優遇制度」の創設を

どうせ補助金を出すのなら、
対象を現在黒字か黒字を目指している農家に限定する。

そして、
交付方法を助成金から融資に切り替え、
明確な黒字経営計画を提出した農家にのみ融資するのだ。

規模の大小も、
経営の形態や作物の種類も問わない。

国内・海外どこで作り、
どこに売っても構わず、
需要と供給はメーカーである農家が考える。

そして金額も、
計画に沿って必要な額を、
それぞれが申請する。

融資の返済期限をたとえば5年に設定し、
5年目の時点で黒字化に成功すれば全額返済免除、
さらには期間中の利益もすべて免税とする。

一方で、
赤字農家はもちろん全額返済しなければならない。

黒字化が遅ければ遅いほど利率が上昇するといった、
厳しい条件をつけてもいいかもしれない。

もうひとつの狙いは、
「返済しないといけないのならいらない」と辞退者を出すことだ。

今の補助金や所得補償制度では、
「もらわないと損だ」の心理で、
生産性向上に貢献していない兼業農家にまで多額の補助金が支給されていく。

この分がなくなれば、
国民が納得いく形で農業の成長に向けた支援がおこなえる。

耕作放棄地を問題にするワケ(要約)

耕作放棄地は日本で確かに増えているが、
世界でも同様の現象が起きている。

それでも、
生産量が増えているのは、
生産技術が向上して、
同じ面積で何倍もの収穫が得られるようになったからであり、
耕作放棄地は、放っておいても構わない。

そもそも、
耕作放棄地は、
土地の条件が悪いなど、
放棄するに足る理由があって放棄したのである。

そこに、わざわざ税金を投入するのは、
税金の無駄使いでしかない。

また、
一度放棄された土地は回復するのは困難という通論があるが、
実は、いつでも甦らす事は可能である。

農水省が、耕作放棄地を問題にするのは、
農水省の仕事を増やし、予算を獲得するためというわけだ。


P86~89
小麦の国家貿易でボロ儲け(要約)

農水省は、小麦貿易をコントロールして、マージンを得ている。
その理由は、財源と天下り先を確保するためである。

(参照 日本は世界5位の農業大国、日本の論点2011等 )

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