食、第一次産業、環境
・水素も回収可能な水プラズマごみ処理施設を商業ベースに乗せる
皇紀2674年(西暦2014年)11月9日放送夢の扉+より
この世の全てのものは4つの状態で存在する。
個体、
液体、
さらに気体。
そして4つ目の状態は未来を変える莫大な力を持つ。
その名はプラズマ。
硬い金属の棒。
これをプラズマの空間に入れると、消えた。
単に、燃えて融けているわけではない。
原子のレベルでバラバラになり、消えているのだ。
硬い金属はもちろん有害な物質さえも消し去る技術。
このプラズマを操るのは
九州大学、渡辺隆行工学博士。
驚くべきプラズマの技術、
その原料は、ただの水とわずかな電力。
この鋭い炎のようなものが水で作った水プラズマ。
これは装置の断面図。
電気を通し、雷のような放電を起こす。
そこに水を送り込むと、
まず原子の状態の酸素と水素に分解される。
そのさらに小さな原子核と電子までもバラバラに。
この状態をプラズマと呼ぶ。
渡辺さんが水から作るプラズマ、その温度は10000℃以上。
例えば、
鉄がこのプラズマに触れると
原子レベルでバラバラにされ、
一部は酸素と結び付き、空気中に拡散。
プラズマの力を利用すれば、どんなものでも消し去る事が可能だという。
この力を世のために活かせないか。
その一つがゴミの処理。
危ないもの、有害なものをバラバラに出来る。
廃棄物処理にも使える。
日本国内で出る産業廃棄物と一般ゴミの量は、年間4億2千万トン以上。
(環境省調べ)
中には、
処理が困難な有害物質も。
渡辺博士はプラズマで、この問題の解決を目指している。
さらに、
水プラズマだと、ただ廃棄物を処理するだけじゃなくて、
エネルギーとして利用可能な、水素も取り出せるのだ。
ゴミを消し去ると同時に水素が発生。
この水素を回収すればいいのだ。
渡辺博士が描く未来のごみ処理場は、煙りさえ出ないので煙突は要らない。
さらにエネルギーステーションとしても役立てようと言うのだ。
実は、
世界のプラズマ研究はプラズマを発生する際、ガスを使うのが主流。
その方が簡単に作れるからだ。
原料=アルゴンガスなど。
メリット:簡単に作れる。
しかし、
渡辺博士は
安全で低コスト、さらに水素を取り出せるメリットを活かしたい思いから、
あえて難しい水プラズマに挑んできた。
原料=水。
メリット=安全、低コスト、水素を得る。
しかし、水プラズマにも一つ問題が。
1万度という温度なので、
水プラズマを制御するというのが困難だということ。
扱いが難しい水プラズマを使ってのゴミ処理。
それは世界でもほとんど例がないチャレンジ。
そんな渡辺博士が、
今、取り組んでいるのがPCB(ポリ塩化ビフェニル)の処理だ。
POBは、かつて多くの家電製品や工業製品に使われていた化合物。
極めて毒性が強いことがわかり、
皇紀2635年(西暦1975年)に製造が禁止された。
実は、その毒性の強さゆえ、
捨てる事も動かす事も法律で制限され、
今でも多くのPCBが残されたままになっている。
動かす事が出来ない危険なゴミ。
ならば、処理施設を動かしてしまえばいい。
プラズマをトラックに積めて、処理施設自体を移動させてしまえば、
日本中のPCBを処理できる。
水プラズマでPCBをバラバラにすると
水の原子が結合し無害なものにする事が可能になるのだ。
これならPCBを移動せずに、
その場で無害なものに処理することができる。
移動可能な水プラズマトラック。
世界でも前例の無いプロジェクト。
積み込まれるプラズマ発生装置。
これまでのものよりはるかに大きいという。
PCBを始めとした産業廃棄物を処理するには、
大きなプラズマが必要だと渡辺博士は考えた。
渡辺博士は
水プラズマトラックに搭載するプラズマ発生装置で、
PCBを問題なく処理できる温度16000℃を維持する事に成功した。
番組では、
ここで放送を終えたが、
プラズマトラックの改良は今も進行中であるとのこと。
水プラズマトラックだけじゃなく、
水プラズマを活用したゴミ処理施設ができればいいなと思う。
環境面だけじゃなく、
水素をエネルギーとして利用すれば一石何鳥にもなる。
ちなみに、
一見、馴染みの薄そうな水プラズマだが、
水プラズマは日常生活でも使われている。
たとえば、空気清浄機とか。
空気を綺麗にするために目に見えないプラズマが使われている。
あ、そう言えば、プラズマクラスターとか言うものね。
あれのことなのかな。
汚れた空気の中でプラズマを起こすと
汚れのもととなる物質が電気的にプラスの物質に変化する。
するとマイナスを帯びている装置に吸い寄せられて行く。
カビの胞子や色々な菌とかを集める事が出来る。
例えば、
コンテナや冷蔵庫の空気を綺麗にしたりして、食品保存に使われたりする。
他にも
取り出すのが容易ではない海底に眠るメタンハイドレートを
プラズマの熱を使い、
気化させて簡単に取り出そうという試みも行われている。そうだ。
おわり。