医療、社会保障
・癌の樹状細胞ワクチン療法を保険適用にして、普及させる
樹状細胞ワクチン療法とは、
ざっくり言うと自分の免疫力で癌を治す療法の事である。
がん治療は、
主に、
外科手術、放射線治療、抗がん剤治療という三つの手段があるが、
新たな第四の選択肢として、
樹状細胞ワクチン療法が注目されている。
樹状細胞療法は、
外科手術で対応できない、
体中に転移してしまった癌を、
治す可能性を秘めている。
樹状細胞は、
免疫細胞の一つで、
癌細胞を異物として捉え、
リンパ球にその情報を伝える。
リンパ球はそれによって癌細胞を一斉に攻撃する。
それによって癌細胞が無くなり、
癌が治るというわけだ。
しかし、
樹状細胞は血液中に1%以下しかない。
なので、
患者本人の血液から、
樹状細胞を取り出し、樹状細胞ワクチンを培養する。
さらに、
ほぼ全ての癌に含まれている
WT1ペプチドを樹状細胞ワクチンに加える事で、
体内の癌細胞を発見する確率を高める事が出来る。
つまり、
樹状細胞ワクチン療法は、
本来持つ体内の免疫機能を強化して行う新しいガン治療なのだ。
この治療法を開発したのは、
テラという日本のバイオベンチャーである。
患者の負担も比較的軽く、
痛くなく、苦しくなく、すぐに終わる。
培養した約1000万個の樹状細胞を
体の4か所から注射にて投与。
3~4カ月を1クールとして、
7クールの治療を行う。
患者自身の細胞を使うため、
重い副作用も特になく、
発熱する程度だ。
今までの治療で対処が難しかった癌患者の3割に対して、
縮小や進行停止などの効果があったという。
しかし、
現時点では保険がきかない自主診療のため、
1クールで約150~200万円と高額である。
だが、
2010年9月末時点で、
約3100の症例数がある。
今後、
樹状細胞ワクチン療法の研究が進めば、
さらなる治療効果に期待が持てるだろう。
この樹状細胞ワクチン療法を保険適用にして、
患者に負担が少ない治療法を確立していきたい。
ちなみに、
日本医療政策機構調べによると、
標準治療では対処が難しく、
治療方針に納得ができないなどの、
がん難民が年間で約68万人存在するとされている。