科学技術、エネルギー資源

・再生可能エネルギーの買い取り価格を下げ、消費者負担を減らす


再生可能エネルギーの買い取り価格が、

太陽光が
10円→42円

風力が
10円→23円

地熱が
時価(10円~20円)→27円

と上がった。

今後、10年~20年は、この値上げした買取価格を維持していこう、と。

買い取り価格が上がった分は、
消費者の電気料金の値上げに直結する。

露骨に言えば、
原発反対、再生可能エネルギー賛成となると、
電気料金が上がるのはやむを得ない。

それは、電力会社がどんだけ頑張っても、避けられない。

2030年のエネルギー比率をどうするかという、
検討案は、
いずれも、
現在よりも、
原子力エネルギーの依存を減らそうというもので、
①、
②、
③、
どの案も、家庭の電気代は上がるものと想定されている。

新聞か何かで見たけど、
④案として、
原発比率を設けずってのも、確かあったはずだと思ったが、
その④案が無いという事は、
①、②、③、いずれも現在よりも原発比率を低くする案なので、
市民派は、
あれだけ国民的議論、議論と喧しいくせに、
何の議論も無く、感情論、世の空気で、
国民的議論をする前に、
どうやら完全に脱原発という流れに決まってしまったようだ。



今や、
原子力エネルギー大賛成の日本人は少ないだろう。
片や、
太陽光発電など、
再生可能エネルギー大賛成の日本人は多いだろう。

そういう方がイイというのが先行してしまうのは、
東日本大震災の惨状を日本人は、目の当たりにしたわけで、
誰もが、そういう風に思ってしまっても、不思議ではない。

しかし、
どちらを選択しても、
それなりに長短があり、
そこまで深く掘り下げて、冷静に考える必要はある。

では、
この度、
再生可能エネルギーの買い取り価格が上がったが、
それによって、
家庭の電気料金がいくらくらい上がるのか。

月7000円、電気料金が掛かっているとすると、
値上げは、月に、84円との事だそうだ。


月、84円の値上げ?

そのくらいなら、いいわよ。と思ってしまうが、
ここには、落とし穴がある。

そもそも、
どうして、
買い取り価格を上げるのかと言えば、
再生可能エネルギーを普及させ、
エネルギー比率を上げていきたいからだ。

どうして上げたいか、と言えば、
大義名分として、
原発、止めた方がいい、
その代りのエネルギーとして、
じゃあ、再生可能エネルギーを増やしていこう!
ってのがあるのだ。

日本の電力の自然エネルギーの比率は、1.1%
原子力の比率は28.6%なわけで、
27.5ポイントもの差があるので、
この差を縮めようってわけだ。


それで、
再生可能エネルギーの買い取り価格を上げたわけだが、

例えば、
太陽光エネルギーの場合、
従来の10円から
約4倍の、42円にまで上げた。

(この動きを加速する圧力を掛け、
内心、ほくそ笑んでいるのがソフトバンクの孫さん。
だって、30円台半ば~40円の間で議論されていて、
業界団体は40円以上を要求して、結果、42円になったわけやからね。
42円に決まった時、内心やったぜ!に違いないのに、
澄ました顔してましたからね、孫さん。すごい人だわ、まったく。)

42円で買い取るわけで、
それだけの値段でエネルギーを買い取ってくれるんだったら、
太陽光発電事業に新規参入しよう!って人達が増えるわけです。

結果、この先、太陽光発電が2倍、3倍と増えていくわけです。
というか、
方針として、
増やして行こうとしているわけです。

つまり、
単純に考えると、
今、太陽光エネルギーを42億円買い取っていたとするならば、
それが、
2倍、
3倍と増えて行ったら、
負担が84億円、126億円と増えて行っちゃうわけです。

これが、
消費者の負担に直結してしまうわけです。
自然エネルギーが普及すればするほど、
赤字になるというか、電気代が高くなるというか、
まぁつまり、消費者が損するわけです。
そこまで考えて原発反対してます?あなたがた。
(原発反対して、自然エネルギーを求めれば、当然の結果ですが。)

じゃあ、その額はどのくらいかと言うと、
国が目標とする、
自然エネルギーを2030年までに30%というもので考えると、
月の電気料金値上げ分は、84円ではなく、
800円~2300円くらいになるという、そういう落とし穴があるのだ。
(月の電気料金7000円の家庭の場合)





ま、
現状、1.1%の自然エネルギーを30%まで押し上げようってわけだから、
当然、それなりの代償、痛みがあるわけだ。

事実、
自然エネルギーの普及に取り組んでいる
ドイツの例を見てみると、わかる。

ドイツの自然エネルギーは、
11年間で3倍に増やした。
6.6%→19.9%


その結果、
当初、132円だった値上げが、
1152円まで上がってしまった。


ドイツは、
自然エネルギーを3倍に増やした結果、
当初の値上げ額より約10倍の値上げになってしまった。

新規参入が急激に増えるわけだから、
値上げも急激なものになってしまう。

これを単純に
日本に当てはめた場合、
1.1%→30%を目指しているようなので、
自然エネルギーを30倍に増やしたら、
当初の値上げ額より約100倍の値上げになることになる。

(ドイツは自然エネルギー3倍に増えて、約10倍の値上げだから、
これに単純に当てはめて考えれば、
日本が自然エネルギー30倍増えたら、約10倍の値上げという計算にした。)

つまり、84円→8400円となるわけだ。

事実、この非現実のような、約100倍の値上げというのは、
先ほども出した、こちらの図を見れば、あながち否定できず、
自然エネルギー30%で、
4000円~8000円の値上げと表示されている。

(約100倍の値上げってのは、ま、これは俺の単純計算なので、
実際は、新規参入、競争原理によりコストは下がるだろうし、
買取価格もそれ合わせて値下げしていくだろうから、
俺の単純計算は当てはまらないだろうけども、
少なくとも、値上げになるのは確実で、それは避けられない。)


自然エネルギー導入というのは、
温暖化対策という理由が強かった面があるが、
それが福島第一原発事故で、
原発の代わりになる主力エネルギーとして注目されてきたという経緯がある。

以下の図を見て頂くとわかるが、
自然エネルギーが
原子力エネルギーの
代替エネルギーに成り得るポテンシャルがあるという試算もあるようだ。

ただし、
この試算は、
買い取り価格の値上げが前提となっており、
(冒頭の固定価格買取制度が前提)
ドイツの例もあるように、
国民に負担を強いる制度である事は間違いない。



国民の生活、国民の安全、
そういった事を含めて諸々考えた時、
単純に、
原発=悪、
自然エネルギー=善としないで、
日本のエネルギー比率は、
どういうベストミックスがいいのかを、
冷静になって決める必要がある。

(平成24年6月30日ニュース深読み、参考)

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