都市開発、交通

・過度な公共投資削減に反対、公共事業費を年々増額していく

公共投資削減の風潮であるが、
景気対策も兼ねて、
公共事業費を毎年、少しずつ増額していき、
内需経済に厚みを持たせていく。

公共投資と言っても、
とりあえず作るみたいなハコモノ行政はダメである。

公共事業が叩かれているのは、
公共事業自体が悪いわけではない。

公共投資は絶対的な善なものとして、
ムダなもの、
特に必要でないものをバンバン作ってしまうから悪いのである。

結果、
なんで、そんなムダな公共投資したんだとなって、
公共投資は悪というのがひとり歩きしてしまったのだ。

その結果、
公共投資削減の影響で、
メンテナンスができずに通行禁止になっている橋梁が
日本国内に 121基もある。

また、
損傷がひどく、
橋の寿命(およそ50年)に至ってないにもかかわらず、
大型車の通行が禁止されている橋が、
国内に680基もある。

2010年に橋の寿命の50年を経過した橋が3万基に達する。

2015年に建設から50年を経過したトンネルが、47295に達する。

さらに、
学校や体育館のメンテナンス、修理ができなくなったりしている。

公共投資の削減をし過ぎている。

現在の公共投資額は1980年の時よりも下回っている。

景気対策の公共事業は、
早く、大量にやる事が求められる。

となると、
住民から見て、
必要な公共事業じゃなく、
すぐやれる箇所をやるということになる。

そういうのは往々にして無駄ができる。

景気対策として行われた公共事業の場合、
土地買収などで時間のかかる都市部の拡幅工事の公共事業よりも、
用地買収が簡単で、
すぐに事業を行える過疎地の地方の公共事業が優先された。

その繰り返しが、
国民の間に、
公共事業=ムダというイメージを
植え付け、社会資本の投資額は、この15年ほどでほぼ半減してしまった。

1995年には、
20兆円くらいだった投資額が、
2007年には、
10兆円近くまで下がってしまった。

公共事業についても
ムダなものもあるけど、必要なものもたくさんある。

その必要なものまで切り捨てられてしまっている。
そのために日本社会に非情なひずみが出てきたと思う。

公共事業=ムダと必要以上に煽るマスコミも悪い。

無駄な道路についてだが、
例えば、
北海道で高速道路が出来て、
その道路が全部開通するまでに止めておくよりも、
途中まででもいいから、
出来た部分だけ使った方が経済的だと、使ってみる。

当然、まだ出来ていないんだから、利用者が少ないに決まっている。

すると、
東京では、
利用者が居なく、
クマが利用しているだけだという、
批判的な報道がされた。

当然だけど、
途中までだと利用者が少ないが、
全部が出来たら、利用者も増える。

利用できるのであれば
道路を放置しておくよりも、
途中まででも利用した方がよい。

それをマスコミは、
道路の利用者が少ない=公共事業はムダと報道をしている。


公共事業削減によるひずみとして、

東京大田区にある稲荷橋
1955年に完成された長さ52メートルの橋だが
老朽化により車両の通行が規制がされている。

実はこのように、
通行止めや通行規制がかかる橋は全国に、950ヶ所以上ある。

全国15メートル以上の規制橋梁数
通行止め159橋
通行規制799橋
(2009年4月時点 国交省)

戦後次々にインフラが整備された日本の国土。

高度成長期に一気に整備されたインフラ。

橋の場合、今後20年で建設後、50年以上経過する。

確実に橋を維持管理する費用は増えていくのだ。

建設後50年以上経過する橋の割合
2009年度 約8%
2019年度 約25%
2029年度 約51%
(2009年度 国交白書より)

公共事業費を減らし過ぎると、
新規どころか
今までの既存のものの維持管理すらできない。

2010年度 社会資本投資予算8,3兆円のうち
維持管理費 更新費4,2兆円が割り当てられているが、
今後予算が増えない場合、
2037年を境に、
新規建設どころか、
維持管理、更新費も賄えなくなるというのだ。

地方自治体の場合はもっと深刻だ。

国が管理する橋は、
5年に1度の点検が義務付けられているが、
なんと61%の自治体が点検すら行っていないというのだ。

全国の市区町村のうち
約61%の自治体が橋の点検未実施
(橋長15m以上)(2009年4月 国交省調べ)

自治体の財政システム問題で、
維持管理より新しいものを造った方が損得で言うと得だというのがある。

新しいモノを造る時は
補助金が半分くらい出るとすれば、
1億円あれば2億円の仕事が出来てしまう。

そうなると、
メンテナンスするよりも、
新しいモノを造った方が損か得かで考えると得なので、
新規事業を優先しがちになってしまう。

維持管理より
新規事業に予算を回した方が
自治体が得してしまう仕組みが、
インフラのさらなる劣化を進めているのだ。

なので、
公共投資は脈略もなく不必要にやるべきではないが、
適宜、必要なところに公共投資はしていくべきである。

現状で、
日本の公共事業で手をつけるところは、
まず、落ちそうな橋を修理するべき。

日本には67万以上の橋があるが、
政府が管轄している橋が1万8千ある。

その1万8千のうちの0.6%(108)が通行禁止となっている。

という事は、
単純に考えた場合、調査はしていないが、
政府が管轄していない橋含めたすべては67万の橋がある。
もし67万のうちの0.6%が
通行禁止の可能性があると考えると、けっこうな数なわけで、ゾッとしてしまう。

下水道もいつ陥没するかわからないところが結構ある。

日本が戦前からやってきた
インフラ整備は大きな資産である。

メンテナンスをしていかないと、
その資産を失う事になる。

八ッ場ダム建設は
やっても中止しても同じくらい多くのお金がかかるのだから、
この際、しょうがないから、やってみるのも手ではある。

ダムは水のコントロールをして役に立ってきた。

もしもダムを使わずに洪水から
人間社会を守ろうとしたら、
洪水にならないように
そこらじゅうで洪水にならないようにインフラ整備をしないといけなくなる。

そうすると莫大なお金もかかる。

それを回避するためにダムがあるという事もある。

どっかに溜めておいて、
水を使いたい時に調整した方がいい。

洪水から守るだけでなく、
自分たちの飲料水や灌漑に使うための水として、一石二鳥にもなる。

ダムは人の命を守ってきた。

あと、道路整備も積極的にやるべきだ。

関西には世界遺産がたくさんある。

例えば、
奈良県、三重県、和歌山県がある、
紀伊半島を一周する高速道路は無いが、
紀伊半島を一周するような高速道路が完成すれば、
いいかどうかは別として、
世界中から観光客が来やすくなる。


他には、
大きな港湾を作る。

日本の港湾は世界トップクラスの大きな港湾が無い。

となると、


大型船が直接入港できない日本の港は
外国で小さな船に積み替える必要がある。


コストと時間がかかる


日本国内に輸入する品物が割高になる。

となって、
日本は損をしてしまうのだ。

世界の港湾別コンテナ取扱個数ランキング

1980年
1位ニューヨーク
2位ロッテルダム
3位香港
4位神戸
5位高雄

2008年
1位シンガポール
2位上海
3位香港
4位深セン
5位釜山

日本の港湾はランクダウン
1980年から2008年を比較すると、
神戸は4位→44位に、
横浜は12位→29位に、
東京は18位→24位に、
大阪は39位→50位になってしまった。
(参考 未来ビジョンより)

 

 

(以下、「新公共事業必要論」より抜粋)

日本には一〇四二の港湾がある。

このほかに
漁港が二九二一ある。

大きな港は一二八。

これを「重要港湾」と呼ぶ。
(さらにそのなかの大きな主要港を「特定重要港湾」と呼ぶ。二三ある)

その他が「地方港湾」で九一四ある。
(国土交通省港湾局監修「数字で見る港湾2008」
(社団法人日本港湾協会刊)参照)

港湾管理者は
都道府県(五八%)、市町村(三五%)、
そのほかは港務局と一部事務組合である。

ほとんどすべてが
公共的社会資本である(一部に民間企業の港がある)。

港湾は、
公共の社会資本である。

港湾の整備事業は公共事業である。

港湾を正常な状態に維持するためにも絶えざる整備が必要不可欠である。

港湾は生きものであり、健康維持には費用がかかる。

絶えざる整備が必要である。
このためにも公共事業は必要なのであり、
やめてはいけない事業なのである。

日本は海に囲まれた島国である。

大小六八〇〇もの島々からなる。

それぞれの島に住む人びとの生活は、港によって支えられている。

港なしに島の人びとは生きることができない。

都道府県別に見ると、
港湾がもっとも多いのは鹿児島県(一四四港、一四%)、
第二位が長崎県(一〇五港、一〇%)、
第三位が島根県(八九港、九%)、
第四位が香川県(六七港、六%)、
第五位が熊本県(五四港、五%)である。

これらの県には島が多い。

島の生活と経済は港湾なしには成り立たないのである。

日本の島々を含めた海岸線の総延長は
約三万五OOOキロメートル。

世界で第六位で、
中国の海岸線の約二倍ある。
(一位はカナダ。アメリカは九位)

海岸線は国土交通省と農林水産省が所管している。

港湾も漁港も生き物と同じである。

毎日健康状態を点検し、
悪いところがあればただちに治療しなければならない。

港が使えなくなったら、
その港によって支えられている住民の生活と
背後地の国民経済が成り立たなくなるからである。

だが、それだけでは済まない。

港は世界に通じている。

世界の変化が
そのまま我が国の港に影響する。

世界の流れから立ち後れたら、
日本は世界から孤立する。

貿易、海洋国としての日本は苦境に立つ。

世界は一つである。

港湾は世界と日本をつなぐ生命線である。

この生命線の健康を維持するとともに
発展させることは政府の責任である。


公共事業の重点を
港湾と空港に向けることによって、
日本が
貿易・海洋立国の方向に進むことを
広く内外に示すべきである。

公共事業は
広義の意味での社会福祉である。

国民経済を
安定的に発展させるための社会資本の整備は、
間接的ではあるが社会福祉である。

これを、
医療などの直接的福祉と対立させる事ほど愚かなことはない。

広義の福祉と狭義の福祉とを両立させることが、
真の福祉社会日本を建設する道であり、
政府がとるべき道である。

国民にとって
必要な公共事業は
社会の発展にとって必要不可欠なものである。

われわれ日本国民は、
偏見に満ちた一部のマスコミの公共事業不必要論に、
これ以上惑わされてはならない。

政府は、
将来を見据え、
国民にとって必要な社会資本を整備するための
公共事業に取り組まなければならない。

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